青森市中心部に、ねぶたや津軽塗、こぎん刺しといった地域の伝統文化を空間の随所に取り入れた新築の民泊「IRODORI AOMORI」がオープンした。運営するのは青森市の株式会社アクト。
玄関にはねぶたをモチーフにしたアートを配し、館内には津軽びいどろやBUNACO、青森ヒバ、りんごの木を使った作品などを設置することで、宿泊そのものを通じて青森らしさを体感できる場を目指す。観光消費の高度化が各地で課題となるなか、ねぶた祭期間には1泊32万円を設定する高付加価値型モデルとして展開する点も注目される。地域文化を“見る”だけでなく“泊まって味わう”拠点として、その可能性が問われそうだ。
本記事では、「IRODORI AOMORI」開業の背景やこだわりなどについて、株式会社アクトに取材した。
公式ホームページ:https://staytsunagiya.com/irodori-aomori/
――― 「IRODORI AOMORI」を「青森の文化と素材を感じる宿」として設計するに至った背景と、開発にあたって特に重視された点をお聞かせください。
青森には、ねぶたや津軽塗、こぎん刺しなど、世界に誇れる文化や工芸がありますが、それらを一度に体験できる場は限られていると感じておりました。
そこで本施設では、単なる宿泊にとどまらず「青森の文化と素材を体験できる空間」をコンセプトに設計いたしました。
特に重視したのは、伝統要素を単なる装飾としてではなく、空間そのものに自然に溶け込ませることです。本物の素材と手仕事を用いながら、違和感なく滞在できるバランスを意識しました。
――― ねぶたや津軽塗、こぎん刺しなどを取り入れるにあたり、青森らしさを空間として表現するうえで、どのような設計や演出の工夫をされたのでしょうか。
それぞれの文化要素を「点」で配置するのではなく、空間全体で感じられるよう意識しました。
たとえば、玄関にはねぶたを設置し、入館した瞬間に青森らしさを強く印象づけています。また、津軽塗は一枚ずつ色の異なるパネルとして壁面に構成し、工芸としての奥行きを視覚的に表現しました。こぎん刺しについても、空間の中で静かな存在感を放ちながら、全体に自然と調和するよう取り入れています。
全体として「主張しすぎず、かつ確実に記憶に残る設計」を目指しました。
――― 青森ヒバやりんごの木といった地域素材の活用によって、宿泊者にどのような体験や印象を持ち帰ってほしいと考えておられますか。
青森ヒバやりんごの木といった素材は、見た目だけでなく香りや質感においても高い体験価値を持っています。
特に青森ヒバの香りは、空間に入った瞬間に滞在の印象を深めてくれる大きな要素です。また、青森を象徴するりんごの木も、この土地ならではの唯一無二の存在感があります。
宿泊される皆さまには、視覚だけでなく、香りや触感も含めた五感を通して青森を感じていただき、その体験を持ち帰っていただけたらと思っています。
――― ねぶた祭期間に1泊32万円という価格設定を行う高付加価値型モデルについて、どのような顧客ニーズや滞在体験を想定して運営されているのでしょうか。
ねぶた祭期間の価格設定は、単なる宿泊費ではなく「特別な体験に対する価値」として設計しております。
青森の文化を凝縮した空間そのものの魅力に加え、立地や時期も含めて、「ここでしかできない滞在」を提供することで、価格に見合う価値を感じていただけると考えています。
実際、公開後には想定以上の反響をいただいており、高付加価値な宿泊ニーズが確かに存在することを実感しています。
――― 今後、この施設を通じて青森の地域文化や魅力をどのように発信し、宿泊事業としてどのような価値を広げていきたいとお考えですか。
本施設を通じて、青森の文化や素材の魅力をより多くの方に知っていただくきっかけを創出したいと考えております。
今後は、地域の職人や作家との連携をさらに深め、単なる宿泊施設にとどまらない、「文化を体験・発信する拠点」へと発展させていく所存です。
宿泊事業としては、高付加価値モデルを軸に、地域資源を活かした新しい宿泊価値の提供を目指してまいります。
■施設概要
名称:IRODORI AOMORI
住所:〒030-0801 青森県青森市古川1丁目2-8
アクセス:
・青森駅から徒歩3分
・青森空港から青森駅までリムジンバスで約35分
駐車場:敷地内無料駐車場あり(2台分)
(冬季は雪のため1台になる場合もあります)
公式ホームページ:https://staytsunagiya.com/irodori-aomori/