お手伝いと旅を掛け合わせた人材マッチングサイト『おてつたび』を運営する株式会社おてつたびは、参加者の約半数を占めるZ世代を対象にアンケート調査を実施した。
おてつたびとは、「お手伝い」と「旅」を組み合わせたサービスであり、人手不足に悩む地域の事業者(農家や旅館など)と、旅先で働きたい人をつなぐ短期アルバイトのマッチングプラットフォームである。旅行者は現地までの交通費を自己負担する必要があるが、旅先で働くことで報酬を得られるため、旅行にかかる経済的負担を軽減することができる。また、地域の人々との交流を通じて、より深く地域の文化や暮らしを楽しむことができる。
地域事業者にとっては、地域外からの働き手に対し報酬と宿泊場所を提供することで業務を手伝ってもらうことが可能となる。「旅」を切り口に全国各地からの働き手を集めることができ、交通費の支給も不要である。さらに、働き手が休日や空き時間に地域を観光することで、地域経済の活性化にも期待がもてる。
滞在期間は1泊2日から最長2ヶ月までと募集内容により様々であり、参加者の平均滞在期間は14日間である。現在、登録ユーザー数は6万人を超え、実際の参加者のうち約半数にあたる52%がZ世代となっている。
当調査は、「おてつたび」が従来の観光地巡りや消費活動を目的とする旅行とは異なり、現地で働きながら地域と関わる新しい旅の形であることから、Z世代が何を目的に「おてつたび」に参加したのかを明らかにするために実施された。
参加理由に関する記述回答のうち、「経験」に関するものとしては、学生最後の人生経験としての挑戦や、コロナ禍で通学できなかった中での行動の模索、見知らぬ土地での出会いを求める思い、就職活動後の時間を有効に使いたいという動機、就職活動に行き詰まった際の気分転換などが挙げられた。さらに、地域で働く人々との交流を通じて土地の歴史や人生観に触れたいという意見も見られた。「地域」に関する動機としては、自分の知らない場所や人との出会いを求めたり、観光地では得られない地域の日常生活を体験したいという意図、長く滞在することでその土地の魅力を深く理解したいという思い、普段行かないような場所や職種に惹かれたという理由が挙げられた。
「滞在費や旅費を節約」したいという理由では、経済的な制約の中で多くの地域を訪れたいという願望、宿泊費を抑えて一人旅を実現したいという希望、学習や関心のある地域を訪れたいが費用面での課題がある中で「おてつたび」という仕組みを見つけたという声があった。「職業体験」としては、農業や観光業など自分の職業とは異なる分野を体験したい、ホテル業界への関心から実際の業務に触れたい、特定の作物に興味があり農家の手伝いをしたいという動機が示された。「多様な人との出会い」を求めての参加理由もあり、背景の異なる人々との関わりを楽しみたいという気持ちや、旅と学びを両立させたいという考えが見られた。
「まちづくりに関心がある」層も存在し、大学時代に地域観光やコミュニティに関する学習を進める中で、実地での学びを得たいという理由での参加があった。「今後のキャリアを見据えて」の参加では、社会人としての経験を経て新しい挑戦をしたいという思いや、仕事に疑問を感じていた中で興味を持った分野に挑戦したいという動機、都市部から離れて新たな環境を模索したいという意向が表明された。
アンケート結果から明らかになった参加理由は、主に三つに分類される。第一に、特に学生や若者に見られる「今しかできない経験をしたい」という意欲である。コロナ禍の影響も背景に、限られた時間の中で新しい挑戦を求めたり、見知らぬ土地や人との出会いを楽しみにする姿勢が見受けられる。第二に、「職業体験や地域との深い関わり」を求める層が存在する。観光にとどまらず、地域での実際の労働を通じて住民と交流し、自らの視野や価値観を広げたいという思いが読み取れる。第三に、「経済的な理由」による参加も多く、旅行費を抑えながら地域での滞在や活動を楽しみたいという目的を持つ人も少なくない。
「おてつたび」は、地域が抱える“人手不足”という課題に対し、「新たな旅の目的地」として地方への新しい人の流れを創出している。地域で働くことで地元の人々と出会い、観光を超えた深い交流を経験することができる。こうした一つひとつの出会いが、やがて地域に継続的なファン(関係人口)を生み出すと株式会社おてつたびは考えている。
以前実施されたアンケートによると、86%以上の参加者が「また地域に訪れたい」と回答しており、約6割が「おてつたび」終了後も地域の人と関係が続いているという結果も得られている。さらに、移住・定住・就職に繋がった事例も全国から報告されている。
日本は今後、より一層の人口減少が進行することが見込まれており、特に地方ではその影響が顕著である。株式会社おてつたびは、「おてつたび」を通じて日本各地に人の循環を生み出し、地域経済を活性化させ、地域が困難に直面した際に助け合える関係性を全国に築いていくことを目指している。