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ヤマト運輸が大分で手ぶら観光を推進ーインバウンド需要獲得、国の支援も

ヤマト運輸が、大分で大分交通と大分航空ターミナルと連携し、4 月18日から、インバウンドを含む手ぶら観光を支援するサービスを開始する。手ぶら観光を推進する国の支援の動向と合わせてお伝えする。

大きな荷物を引きずりながら買い物をする外国人旅行者。そんな光景を目にすることが増えたのではないだろうか。大きな荷物を運ぶ外国人の購買意欲の減退はもとより、買い物をする日本人にとっても店の通路が大きな荷物に塞がれて不便を感じる。そんな課題に解決策を提示するのが「手ぶら観光」の推進である。

手ぶら観光「客貨混載(きゃくかこんさい)」
ヤマト運輸の4月17日の発表によると、大分交通と大分航空ターミナル、ヤマト運輸は、大分空港から空港リムジンバスが手荷物をヤマト運輸大分ベースへ運ぶことで、別府市内全域と大分市中心地(大分駅周辺)の宿泊施設へ手荷物を当日中に届け、インバウンドを含む観光客の身軽な手ぶら観光を実現するサービス「客貨混載」を4月18日から開始した。

大分県別府市は、温泉で有名な観光地でありながら、コインロッカーの不足等により、観光客は手荷物を持ったまま観光するケースが多いため、身動きがとりづらいという課題や、大半の観光施設は閉館時間が早く、一度宿泊先に荷物を預けると観光時間が短くなってしまうため、満喫しきれないという課題があった。また、隣接する大分市は2019 年にラグビーワールドカップの開催を控え、観光客のスムーズな受け入れ態勢が求められている。
そこで、上記の3社が課題解決のため連携し、別府市内全域と大分市中心地の宿泊施設への手ぶら配送を開始し、手ぶら観光の推進で、観光客の満足度向上と地域の更なる活性化に取り組む。

交通運送3社の思惑が一致
ヤマト運輸は、手ぶら観光を全国で展開しつつあるが、大分県においては、別府市にて本年2月より市や地元企業とともに手ぶら観光サービスに取り組み、3つの窓口で別府市全域の宿泊施設向けに手ぶら配送を行っている。
大分交通は、空港リムジンバスの増便やバス車内へWi-Fiを設置するなど、急増する訪日外国人の受入体制整備を進めており、平時の観光支援とともに大分市での2019 年ラグビーワールドカップ開催も視野に入れ、手ぶらでラグビーでの観戦を可能とするための取り組みを進めている。
大分航空ターミナルは、増加する訪日外国人に対応するため、今年度、国際線ターミナルビルの増改築を行い、荷受カウンター隣りには観光案内所を常設し、多言語に対応したサービスを提供できるスタッフを配置している。
今回の三社の連携はこうしたインバウンド向けの取り組みにおいて思惑が一致した形だ。

手ぶらで温泉後の買い物を
具体的な三社の連携による手ぶら観光の推進を説明しよう。

イメージ図

出典:ヤマト運輸

(1)大分航空ターミナルのスタッフが大分空港の荷受カウンターで10:00までに荷物を預かり。大分交通が大分市内行きの空港リムジンバスのトランクへ手荷物を格納して大分市内へ向かう。
(2) 空港リムジンバスは各バス停を経由した後、ヤマト運輸大分ベースまで手荷物を運ぶ。 大分交通の運行状況はリアルタイムにヤマト運輸大分ベースが把握する。
(3)ヤマト運輸が大分ベースで仕分けをし、別府市全域と大分市中心地の宿泊施設に当日中(別府市17:00まで、大分市18:00まで)に届ける、というもの。
料金は荷物の大きさに応じ1個1000~1300円となっている。

国土交通省の支援も
手ぶら観光には外国人旅行者の購買力を高める効果も期待されることなどから、国の支援が始まっている。
国土交通省は、現状、外国人による旅行が団体旅行から個人旅行にシフトする中で、その多くが荷物を持って日本国内を移動していることに関して、自ら荷物を運ぶ必要がなければ、訪日外国人旅行者の利便性が向上し、観光立国の推進に資するとの考えで、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、訪日外国人旅行者が日本の宅配運送サービスを利用し、手ぶらで観光できる環境を定着させるための検討と取り組みを物流及び旅行関係の団体・機関とともに進めている。

具体的には、「手ぶら観光」共通ロゴマークを公共交通機関・店舗・施設の受付カウンターへ掲示することにより、外国人旅行者からの外国人対応の手ぶら観光カウンターとしての識別性を向上させ、外国人旅行者の利便性を高めることを目指している。

出典:国土交通省

現在「手ぶら観光カウンター」として、2018年3月31日現在222箇所を認定しており、手ぶら観光共通ロゴマーク掲出の認定をした又は認定する見込みがある民間事業者等を対象に、手ぶら観光カウンターの整備や機能強化等に対する補助事業を行っている。
ヤマト運輸は、手ぶら観光カウンターの認定事業者として、最も積極的に取り組んでいる業者の一つであり、別府市でも「JR別府駅内えきマチ1丁目」がそれに認定されている。
手ぶら観光への取り組みは、日本郵便や佐川急便などの他の運送業者にも広がりを見せている。

訪日外国人旅行者の増大に伴い、インバウンドの経済効果が、航空会社や空港などの第一次交通から、地方路線や物流、運送などのローカルレベルの第二次交通にまで広がりを見せており、今回の動きも荷物の課題を解決することで、インバウンドニーズをローカルレベルで捉えるための取り組みの一つと言えるだろう。

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