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日本屈指の宿泊施設過密エリア、大阪市で民泊が与えうる影響とは

大阪市は日本で一二を争う大都市であるとともに、全国屈指のホテル客室数を有する観光都市という側面を持っている。また、民泊物件数も全国で2位と、宿泊施設の数は群を抜いて多い。民泊物件の詳細なデータから見えてくる大阪市の民泊事情、また民泊はホテルにどれほどの影響を与えうるのだろうか。

大阪市は日本屈指の民泊過密地帯
民泊新法の成立を受けて、大都市を中心に大きな広がりを見せている民泊。個人だけではなく、各企業も新たな宿泊スタイルの台頭に大きなチャンスを感じているのか、宿泊業をメインとしている企業のほかにもさまざまな業種から民泊業に新規参入している。
そんななか、各種民泊データを紐解いていくと、本稿で取り上げる大阪府および大阪市は日本でも屈指の民泊過密地域ということが分かった。

出典:メトロエンジンリサーチ

表1は、メトロエンジンリサーチによると、2017年9月時点で大阪府には13,220件の民泊物件がある。これは、17,414件の東京に次いで全国第2位だ。
さらに、各都道府県の民泊物件を市区町村ごとに詳しく見てみると、大阪府内の13,220件の民泊物件のうち、実に12,878件が大阪市内に集中しているのだ。大阪市以外の民泊物件はわずか342件となっている。

これは、決して異常なことではなく、東京都でも民泊物件の多くは東京23区内に集中している。東京都全体の民泊物件数、17,414件に対して23区内は17,127件だ。一見、物件の集中度は大阪市に比べ東京都の方が高いように思えるが、東京23区は特別行政区で、純粋な意味で一都市とは言えない。加えて、面積も223km²しかない大阪市と比べると619km²と約3倍程度広い。こうした点を考慮すると、大阪市は「日本で最も民泊物件が集中する都市」と言っても過言ではないだろう。

大阪市中央区の民泊物件数は全国トップ
大阪市は民泊の過密地域ということは先の項で指摘済みだが、市区町村別の民泊数を見てみると、その集中具合はより分かりやすい。

出典:メトロエンジンリサーチ

表2は、メトロエンジンリサーチによると、2017年9月時点での全国の市町村別民泊物件数のトップは大阪市中央区で5,091件である。
ちなみに、大阪市中央区は、日本でも屈指のホテル過密エリアとしても知られている。ホテル客室数23,949部屋は東京都港区に次いで全国2位、1km²あたりのホテル客室数は全国第1位だ。
また、民泊物件数の大阪府2位は大阪市浪速区の3,040件だが、これは大阪市中央区、東京都新宿区に次いで全国第3位、さらに大阪府第3位の大阪市西成区は全国第10位にランクインしている。
このように、民泊物件数のトップ10に大阪市の中から3つの行政区がランクインしている。トップ10内に複数の行政区が入っているのは、東京都と大阪府のみである。

極端化する宿泊施設のニーズ
先ほどまで、大阪市にどれほど民泊物件が集中しているかをお伝えしてきたが、実はすべての行政区で民泊物件が増えているわけではない。
大阪市には24の行政区があるが、そのうちの半数にあたる12の行政区で前年の物件数を割り込んでいる。具体的に見てみると、前年と比較して民泊物件が減少しているのは以下の行政区だ。

出典:メトロエンジンリサーチ

このうち、減少が特に顕著だったのは平野区だ。2016年には40件の民泊物件があったが、2017年は20件にまで減っている。また、東住吉区も減少幅が大きく、2017年の民泊物件数は前年比68%に減少している。

その半面、前年と比べると大幅な増加が見られる地域もある。前年と比較した時に民泊物件が増えている行政区は、以下の通りである。

出典:メトロエンジンリサーチ

このように、同じ大阪市内でも民泊が活況な地域と需要が少ない地域とに、はっきりと分かれることが大阪市の民泊の大きな特徴である。

民泊物件がホテルに与えうる影響はどれだけあるのか

出典:メトロエンジンリサーチ

メトロエンジンリサーチによると、2017年9月時点のホテルに与える民泊影響稼働率(民泊の宿泊部屋数※/ビジネス・シティホテル)は9.29%(2016年9月時点8.16%)で、観光庁の宿泊旅行統計調査で明らかにはならない民泊物件が徐々に増えている状況がうかがえる。

先述から、宿泊施設の密集地帯は二極化のしていくことも十分に考えられる。また、民泊物件が増えているエリアは、基本的にはホテル激戦エリアと相似している。このことから既存のホテルは、新規ホテルの開業に加えて、民泊物件の動向にも影響されうる可能性は十分にあるのではないだろうか。

民泊新法の施行を目前に、どのように民泊事業が参入していくのか、またホテル独自の個性に注目していきたい。

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