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JNTO発表:2025年3月の訪日外国人数、前年同月比13.5%増の349万7,600人を記録

(出典:JNTO

日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年3月の訪日外国人数は、前年同月比13.5%増の349万7,600人となり、2024年3月の308万1,781人から大きく増加した。前月比でも約24万人増と順調に訪日者数は増加している。コロナ禍以前の2019年3月の276万0,136人と比較しても26.7%増と大きく上回っており、訪日観光市場の回復基調が続いていることが明らかである。

JNTOの資料を基に作成)

2025年3月における訪日外客数の多かった国別では、韓国が最多の69万1,700人であった。前月比では-18.4%と減少しているが、これは2月の旧正月休暇に合わせた訪日需要の反動減によるものとみられる。一方で、前年同月比では4.3%増、2019年同月比でも18.1%増といずれもプラスとなっており、韓国市場の安定的な需要回復がうかがえる。ビザ免除や航空路線の復便も背景に、引き続き堅調な需要が見込まれる。

中国からの訪日者数は66万1,700人で、前月比では-8.4%と減少したものの、前年同月比では46.2%増と大幅な回復を示した。2019年同月比では-4.3%と完全な回復には至っていないが、ビザ発給や団体旅行規制の緩和が進行中であり、今後さらなる増加が期待される。中国市場の回復は、今後の訪日観光の全体動向を左右する重要な要素となる。

台湾からの訪日客は52万2,900人で、前月比3.1%増、前年同月比7.9%増、2019年同月比では29.9%増と好調な推移を見せている。観光需要の回復とともに、航空便の増便や地方都市への訪問が増加していることが背景にあると考えられる。米国からの訪日者は34万2,800人で、前月比79.0%の大幅増、前年同月比18.2%増、2019年同月比でも94.2%増と、長距離市場の中でも際立った成長を示した。特に春の観光シーズンに向けた訪日旅行需要が高まったことが、この急増の要因と考えられる。香港は20万8,400人で、前月比6.6%増となったが、前年同月比では-9.9%と減少した。これは為替や航空便の供給状況など、外的要因が影響している可能性がある。

地域別にみると、アジア主要市場のうち韓国や台湾は堅調に回復を進めている一方で、中国は回復途上であり、政策的な要因が引き続き影響していると考えられる。米国を含む長距離市場では、為替の円安傾向や日本文化への関心の高まりが後押しとなり、需要の拡大が続いている。こうした動向から、今後の訪日観光戦略では、短期的には東アジア市場を盤石にしつつ、中長期的には欧米豪市場の掘り起こしと地方誘客の拡充が鍵となるであろう。

訪日外国人数はコロナ禍を経て力強く回復しつつあり、各国・地域の市場特性に応じた戦略的な観光施策が求められる。持続可能な観光地経営や、多様な旅行者ニーズへの対応が、今後の日本の観光産業の発展に不可欠である。今後も安定的な市場動向と、質の高い観光体験の提供によって、世界から選ばれる訪問先としての地位を確立していくことが期待される。

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