2025年3月9日、訪日観光客の移動課題を解決する新サービス「RedCaps」が沖縄県石垣島で開始される。手荷物を空港から宿泊施設へシームレスに配送することで、観光客の移動を快適にし、観光消費の拡大と地域経済の活性化を目指す。さらに、自治体や交通事業者と連携し、観光客と地元住民の交通混雑問題を同時に解決する新たな観光インフラとしての役割も担う。
本サービスの導入により、観光客の移動時間が平均30%短縮されることが試算されている。手荷物を持たずに観光を楽しめるため、観光・滞在時間が延長し、1人あたりの観光消費額が平均15%から25%増加する見込みである。また、公共交通の輸送効率が向上し、荷物を持たないことで乗車率や運搬効率が高まる。環境面でも、自動車の利用抑制や電動マイクロモビリティの活用により、CO2排出量の削減が期待されている。
サービス内容として、空港から宿泊施設への配送は1,980円から、宿泊施設間の配送も1,980円から提供される。空港への荷物配送は2,200円から、大型荷物は2,530円から、自転車配送は4,180円からとなる。利用者はオンライン予約や空港カウンターでの受付が可能であり、キャッシュレス決済にも対応している。受け渡し拠点は新石垣空港国内線ターミナル1階中央および各宿泊施設で、配送可能エリアは石垣島全域に及ぶ。
石垣島では年間約150万人の観光客が訪れており、2025年春以降、国際線の開通や台湾とのフェリー定期就航によるさらなる観光客増加が見込まれる。一方で、公共交通の混雑やタクシー不足、観光地までの移動ストレスといった課題も深刻化している。このような状況を踏まえ、「RedCaps」は沖縄県、石垣市、竹富町の自治体やマイクロモビリティ事業者、貨物運送事業者、航空会社と連携し、観光と移動の課題を包括的に解決するためのプロジェクトとして始動した。
今後の展開として、石垣島での成功事例をもとに全国の観光都市への展開が計画されている。現在、那覇市、長崎市、宮崎市、高知市、広島市、出雲市、神戸市、京都府、大阪府、名古屋市、箱根町、横浜市、富山市、金沢市、仙台市、盛岡市、札幌市での導入が予定されている。また、大型クルーズ船の就航港やインバウンド観光の増加が見込まれる都市での展開も視野に入れられている。