インタセクト・コミュニケーションズ株式会社は、日本政府が外国人旅行者向け免税制度の抜本的な見直しを検討する中、中国在住者の免税購入に関する最新動向を探るべく、メッセンジャーアプリ「WeChat」上のアンケート機能を使用して、中国在住者600人を対象に「訪日旅行時の免税購入に関する調査」を実施した。
調査対象者の居住地は成都市、広州市、深セン市、上海市、杭州市、北京市、蘇州市、南京市、天津市、重慶市の10都市であり、回答者の内訳は男性238名、女性362名である。年齢層は18歳未満が4名、18~24歳が180名、25~30歳が185名、31~40歳が159名、41~50歳が51名、51~60歳が16名、61歳以上が5名であった。
調査結果によれば、訪日旅行時に免税店で商品を購入したことがある人は全体の67.5%であり、男性は41.0%(166名)、女性は59.0%(239名)と女性の割合が高かった。一方、免税店での購入時の行列の長さを理由に購入をあきらめたことがある人は54.8%であり、男性では54.2%(238名中129名)、女性では55.2%(362名中200名)とほぼ同じ割合であった。この結果から、半数の人が購入時の行列の長さを原因に購入を辞めた経験があることが判明した。
行列を理由に購入をあきらめた場合の行動については、「一旦並ぶのをやめて店内で他の商品を見るなどして様子を見て再度(空いていたら)並ぶ」が最も多く、全体の40.2%(241名)であった。男性では38.7%(238名中92名)、女性では41.2%(362名中149名)がこれに該当した。次に多かった回答は「買うのをあきらめて(他店などへ行く)、別な時間帯に同じ店で買う」で14.2%(85名)であり、これらを合わせると全体の54.3%が行列の短いタイミングを見計らって希望する店舗での購入を試みていることがわかった。また、「(行列の店で)買うのをあきらめて、別の店で買う」と回答した人は28.5%(171名)であり、約3割が行列の長さを理由に購入を断念していることが明らかになった。
行列の待ち時間に関する許容範囲について、訪日旅行中の昼間では「10分以内」が24.7%(148名)で、「待てない」~「10分以内」を合わせると37.8%(227名)が10分以内を許容範囲としていた。「20分以内」は21.5%(129名)、「30分以内」は28.5%(171名)であった。一方で、夕食後などの夜間では「待てない」~「10分以内」が39.8%(239名)、「20分以内」が21.5%(129名)、「30分以内」が26.0%(156名)と、昼間とほぼ同様の結果であった。時間に制限がある場合が多い、帰国時の空港では「待てない」と回答した人が5.2%(31名)で、訪日旅行中(昼間:3.3%、夜間:3.0%)よりやや多かった。「待てない」~「10分以内」と回答した割合は54.2%(325名)で、帰国時には半数以上が10分以内の待ち時間を許容範囲としていた。「待てない」~「20分以内」と回答した割合は75.5%(453名)であり、7割以上が20分の行列待ちはできないという結果となった。
免税店の行列が長く、購入を断念した場所について、最も多かったのが羽田空港で30.2%(181名)であった。次いで百貨店が27.7%(166名)、スーパーが26.5%(159名)と続いた。主要国際空港では羽田空港に次いで成田空港が23.8%(143名)、関西国際空港が17.5%(105名)、新千歳空港が16.5%(99名)であった。
本調査を通じて、インタセクトの担当者は「訪日旅行者の約7割が免税店で買い物を経験している一方で、レジ待ちの行列により購入をあきらめるケースが多く、これは販売機会の損失につながると考えられる。POSの見直しやキャッシュレス化、事前予約、行列の分散化などのDX活用により、訪日旅行者の満足度向上と小売業全体の売り上げ増加が期待できる」と提言している。