エイチ・アイ・エス(HIS)は、2023年12月23日から2024年1月3日にかけての海外旅行予約状況を基に、旅行動向を分析した。この調査は、2023年11月15日に行われ、対象期間内のHISツアー、ダイナミックパッケージ、航空券を予約した顧客が対象である。
市場環境については、新型コロナウイルスの直接的な経済影響は解消されつつあるが、高インフレや地政学リスクによる社会不安は依然として存在する。特に原油価格の高騰による燃油サーチャージの上昇や円安が、12月以降の航空券価格に影響を及ぼしている。一方で、多くの国でコロナウイルスに関連する入国条件は撤廃されており、旅行環境は改善している。
旅行者数の増加傾向に関しては、全体的には前年同期比263.8%の増加を見せているが、2019年のコロナ前水準と比べると50%に留まっている。特に韓国旅行は、ソウルが2019年同期比で113.7%、プサンが145.6%と二桁増加している。これは、日韓関係の改善や訪日需要の増加、地方空港の復便・増便によるものと考えられる。また、平均単価は192,700円で、前年同期比ほぼ同水準(98.0%)、2019年比で112.2%となっている。
台北旅行の需要回復と、LCC就航都市の存在感の高まりも見られる。台北は、昨年の入境者数制限や隔離検疫の必要性が解消され、2019年と同水準の旅行手配比率に戻っている。また、セブ島やケアンズなど、LCCが就航する中距離ビーチリゾートの需要が増加している。
平均旅行日数は6.3日間で、出国ピークは2023年12月29日、帰国ピークは2024年1月3日となっている。一部では、成人の日の祝日を避け、帰国日を1月9日まで延長する傾向も見られる。
まとめとして、2023年は新型コロナウイルスの分類変更により、感染対策や対応が大きく変化した年である。旅行業界も国際線の座席供給数が回復し、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光への取り組みが進んでいる。旅行者は、地域社会や自然、文化への敬意を持ち、持続可能な観光の実現に貢献することが期待されている。