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中国人観光客増加の4つの理由―伸び率14%増の要因とは

Group of friends sitting outdoors with shopping bags - Several people holding smartphones and tablets - Concepts about lifestyle,shopping,technology and friendship

近年、中国人観光客の増加が各所で話題となっている。2017年も中国人観光客は安定して伸びており、約680万人の中国人が日本を訪れている。この中国人の根強い日本人気は一体どこにあるのだろうか。考えられる4つの理由で、考察してみよう。

 
中国人観光客数は2017年も14%と高い伸びを示す
一昔前の日本は、あまり観光客が訪れない国として知られており、お隣の国・韓国と比べても外国人観光客数の面で大きく水を開けられてきた。しかし、2016年にはじめて訪日外国人が2,000万人を超え、2017年も実数が発表されている11月までで2,600万人を超える外国人が日本を訪れるなど、「観光立国」への道を着実に歩み始めている。
 
2016年の外国人訪問数ランキングでは全世界で16位にランクインし、これからの日本の産業のひとつとして観光、インバウンド需要は無視できない規模に育ってきている。
また、日本を訪れる外国人観光客の中でも、中国人観光客の存在感が際立っている。中国人に対するビザ要件が緩和された2015年以降、国別訪日国のトップを維持し、2017年も11月までで約680万人の中国人が日本を訪れている。
 

出展:日本政府観光局「訪日外国人消費動向調査」

 
前年からの伸び率は14.2%を記録している。元々の母数が多いことを勘案すると、中国人観光客の日本旅行人気は高いレベルで安定していると言えるだろう。それでは、日本を訪れる中国人が安定して増えているのにはどういった理由があるのだろうか。以下で、詳しく見ていこう。
 
訪日人口の爆発的な拡大のカギはビザ要件の大幅な緩和
中国人観光客の増加を考える上で、まずはじめに考えられる要因にビザ要件の緩和がある。というのも、日本政府は中国人に対して非常に厳しいビザ要件を求めてきた過去がある。
たとえば、2010年以前は個人旅行へのビザ発給は認められず、ビザが発給されるのは団体旅行に対してのみだった。また、厳しい収入制限も課せられてきた。外務省は収入制限の詳細については明らかにしていないが、一定以上の所得がない中国人にはビザを発給してこなかった。
 
この厳しいビザ取得要件が2010年と2015年に相次いで緩和された。その結果、2009年に約100万人だった中国人観光客は2010年には140万人に増えた。その後も順調に伸び続け、2014年に240万人に、さらに2015年にはおよそ倍の約500万人まで増えることとなった。
 
経済成長による日本旅行客の絶対数の増加
中国は2000年代に入ってから、中国政府が推し進める改革開放政策により急速な経済発展を遂げてきた。2010年代に入ってもその勢いは衰えず、2011年には日本が40年以上に渡って守り続けてきた名目GDP世界2位の座を中国に奪われている。この経済成長によって、日本旅行をすることができるだけの金銭的余裕がある層が分厚くなったというわけだ。
 
加えて、人民元高も大きな要因のひとつだ。人民元は現在のところ、ドルや円などの通貨と違い固定相場制を取っているが、中国の経済成長に合わせて幾度となく切り上げられている。2017年の人民元の為替相場は1円=17人民元程度で推移していたが、2010年から2012年あたりは1円=12人民元程度だった。この人民元高により、富裕層以外の中間層でも容易に日本に滞在して買い物を楽しむことができるようになったのだ。
 
ローコストキャリア(LCC)の就航路線の拡大
さらに、ローコストキャリア(LCC)の就航路線の拡大も大きな要因として見逃せない。今や日本で中国人といえば、いわゆる「爆買い」のイメージもあり、富裕層が多いという印象を持つ人も多いのではないだろうか。
しかし、中国人の富裕層人口は300万人前後と言われており、13億人を超える全人口のほとんどが中間層以下の所得の人である。こうした人々にとって格安で日本旅行が出来るLCCの存在は大きなものがある。
 
従来は高い航空運賃で日本旅行を断念していた層が、LCCの登場によって気軽に日本に行けるようになったわけだ。
 
日本の製品に対する信頼感の高さ
日本製品の安全性に対する中国人の信頼感の高さも、中国人観光客が増加し続ける理由のひとつである。中国人旅行客の大きな特徴のひとつに、他の国からの観光客と比較すると、化粧品や香水、医薬品など身体に直接触れるものの製品の購入率が高いことが挙げられる。

出展:観光庁「訪日外国人の消費動向」

 
観光庁が発表している「訪日外国人の消費動向」によると、中国人観光客は化粧品・香水は79.1%の購入率、医薬品・健康グッズ・トイレタリーについては72.4%と高い購入率を示している。

出展:観光庁「訪日外国人の消費動向」

 
これがアメリカ人観光客だと化粧品・香水は11.1%、医薬品・健康グッズ・トイレタリーは17.5%と中国人観光客の消費動向とは大きく異なっている。こうした日用品を購入する中国人観光客は、製品の品質の高さや安全性を求めてリピーターとして購入するために日本を訪れているということが考えられる。
 
ここまで、中国人観光客が安定して増えている理由を大きく分けて4つ紹介してきた。2018年以降も、中国人観光客はさらに増えていくものと考えられている。
 
その一方で、中国政府は自国の観光客を政治の道具として使ってきた過去がある。中国政府に不都合なことが周辺国で起こると、観光客に当該国への渡航禁止や渡航自粛を促すケースが目立つ。最近では、韓国がその標的になっている。
 
現在のところ、訪日中国人観光客数は順調に増えているが、いつ何が起こるか分からないのが世界情勢である。中国人観光客へのサービスを拡充する一方、中国以外から訪れる観光客に対しても有効な観光施策を立案していくことも重要ではないだろうか。

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