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好調な香港ホテル業界ーホテル開業ラッシュの背景

2017年は香港のホテル業界にとって盛況な1年となった。年間を通して客室稼働率は9割近くとなり、平均客室宿泊料(ADR)も上昇し、ホテル開業ラッシュが続く。2018年の香港ホテル業界の動向を探る。

 
2017年ホテルはフル稼働に
香港政府観光局(HKTB)によると、224ホテル、約7万の客室を有する香港では2017年、客室稼働率88.5%を記録した。また、過去4年間下降傾向にあった1日当たりの平均客室宿泊料(ADR)も上昇に転換。1,381.26香港ドル(約18,665円)となった。
 
この好調は、2018年に入っても衰えておらず、2018年1月の稼働率は、92%で、2017年1月の87%を5%上回った。中国の春節が2017年は1月27日からであったのに対し、本年は2月16日からであったため、本土からの来訪者は昨年同月比で5.5%減少したものの、日韓や豪州からの訪問者の増加によって宿泊が下支えされた。
 
世界に冠たる国際都市も順風満帆ではなかった
年間の外国人訪問者数が約2,655万人(2016年、HKTBデータ)と人口約734万人でありながら、日本とほぼ同規模で外国人が訪れる国際都市、香港。
外国人訪問者数の都市別ランキングでもトップを取り続ける香港だが、これまで順風満帆だったわけではない。
 
2003年にはSARS(重症急性呼吸器症候群)が蔓延し、観光業界は大打撃を被り、ホテルの稼働率は20%を下回る壊滅的な打撃を受けた。
また、2008年の世界金融危機においても、世界の金融都市である香港は打撃を受け、60%程度までホテルの稼働率は下がった。
近年においては8割前後の稼働率で比較的安定してきたものの、民主化を求める香港反政府運動(いわゆる「雨傘運動」)と香港政府や中国政府との間での衝突、取り締まりや流入規制の実施により、度々影響を受けてきた。
 
ホテルの開業ラッシュ
そんな中でも、客室稼働率の超高水準を受けて開発業者はホテルの開業ラッシュへと急いでいる。HKTBによれば、客室供給の伸びは2015年に1.6%、2016年に1.4%だったが、2017年には2倍の2.8%になっている。
 
2018-20年はホテルの新規オープンがめじろ押しで、現在の約7万室から2019年には8万7800室に増加、20年には9万室を超える見込みだという。
 
香港のホテルは伝統的に夜景の美しさが売りとなっているが、おしゃれな内装やスマートフォンを部屋に備え付けにすることなどが香港のホテルの新たなトレンドとなってきている。
 
週末に気軽に日本から渡航する香港リピーターも増加しており、本土からの渡航者に加えて主な顧客ターゲットとなっている。
 

本土と結ぶ「港珠澳大橋」「広深港高速鉄道」の完成が目前
ホテルの開業ラッシュをさらに後押しするのが、現在進行中の大規模交通インフラの整備である。
 
具体的には、香港と本土の珠海、マカオを結ぶ海上橋の「港珠澳大橋」が2018年の5-6月に開通する見込みとなり、全長35キロのこの橋を使えば香港と珠海を30分程度で行き来できるようになる。
さらに、広州、深セン、香港を結ぶ「広深港高速鉄道」が2018年中には完成する予定であり、広州から香港まで1時間以内での移動が可能になる。
 
これらが完成すれば、本土から香港への渡航者の拡大は確実で、香港のホテル経営者たちは堅調な成長を期待できる状況であり、ホテルの開業はそれを見込んだものと言えそうだ。
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