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大阪府で稼働率約90%、人気を誇るシティホテルの動向とは

近年、外国人観光客の急増に伴い、全国的にホテルの客室稼働率が上昇している。特に、従来から観光客に高い人気を得ていたシティホテルの客室稼働率の上昇が著しい。中でも大阪府のシティホテルの客室稼働率は2017年、90%に届くかという数字を記録している。

シティホテルの客室稼働率は全国的に上昇している
近年特に目立つ外国人観光客の急増により、日本国内のホテルの客室稼働率が軒並み上昇している。中でも、豊富な客室バリエーションとレストランや館内施設が充実していることで、旅行客のさまざまなニーズに対応できるシティホテルの人気の上昇ぶりが顕著である。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」

グラフは、2012年1月から2017年10月までのシティホテルの客室稼働率の全国平均をまとめたものだ。このグラフを見ると明らかなように、シティホテルの客室稼働率は年々上がっている。
注目したいのは、繁忙期のみならず1月、2月といったホテル業界の閑散期の客室稼働率が上昇している点である。2012年1月の全国平均の客室稼働率は、61.1%だった。5年後の2017年1月の客室稼働率は68.9%にまで上昇している。
さらに、大阪府にいたっては本来閑散期であるはずの1月でも82.1%という高い数字を記録している。もはや大阪府のシティホテルには閑散期は存在しないと言っても良いのではないだろうか。

2012年の客室稼働率のトップは京都府で81.43%
次に、客室稼働率の推移を都道府県単位で詳しく見ていきたい。まずは2012年の都道府県別の客室稼働率ランキング(表1)をご覧いただきたい。

(表1)

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」

2012年の都道府県別客室稼働率のトップは京都府で81.43%だった。以下、大阪府が81.04%、東京都の79.92%と続いている。京都府がトップなのは、観光客の数がもともと多いことはもちろんだが、それ以上に宿泊施設不足という側面が大きいだろう。

京都府の中心地であり、観光客の宿泊需要が最も高い京都市は、厳しい景観条例があり、大規模なホテルの建築が規制されていた。このため、京都市では慢性的な宿泊施設不足に陥っていたのである。最近になって、この条例の一部が緩和され外資系ホテルや大型ホテルの進出が相次いで、2012年頃の深刻な宿泊施設不足は徐々に緩和されつつある。

表1に目を戻すと、客室稼働率が80%を超えているのは、京都府と大阪府。70%を超えるのは東京都、神奈川県、福島県、広島県、愛知県、兵庫県、茨城県、福岡県、表には入っていないが埼玉県、奈良県、千葉県の11県だった。

三大都市圏や大都市を抱える都道府県が目立つが、宮城県、福島県も高い客室稼働率を示しているのも2012年の大きな特徴である。宮城県、福島県の客室稼働率が高い背景には、2011年に起こった東日本大震災の震災復興作業員、ボランティアなどの人々の宿泊需要が高かったことが考えられる。

2017年の客室稼働率のトップは大阪府で88.83%
次に、2017年の客室稼働率を詳しく見ていきたい。まずは表2を見ていただきたい。表2は、2017年の客室稼働率のトップ10の都道府県をまとめたものだ。2012年と比べると、客室稼働率が明らかに上昇しているのが分かるのではないだろうか。

(表2)

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」

中でも、特筆すべきはトップの大阪府で、88.83%という驚異的な客室稼働率を記録している。先にも触れたように、本来なら閑散期であるはずの1月でも大阪府のシティホテルの客室稼働率は80%を超えている。シーズンのオンオフは関係なく、現状の大阪府ではシティホテルの宿泊予約を取ることは困難な状況になっていると言えるだろう。

大阪府だけでなく、他の都道府県も2012年と比べると客室稼働率は大幅に上昇している。客室稼働率が80%を超えたのは、2012年は京都府、大阪府だけだったが、2017年には広島県、福岡県、東京都など9都府県にまで増えた。さらに、客室稼働率は70%を超えた都道府県も北海道や埼玉県、石川県など17に増えている。

一般的に客室稼働率が80%を超えると、その宿泊施設の宿泊予約は取りづらくなるとされている。客室稼働率の全国平均が80%に迫る79.44%を記録している今、全国的にシティホテルは宿泊しづらいと言っても過言ではないだろう。外国人観光客がさらに増えるだろうと予測されている2020年の東京オリオンピックに向けて、宿泊施設の整備は日本の観光業の最重要課題と言っても良いだろう。

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