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船井総合研究所が提供するレベニューマネジメント「Judge Price」を深く掘り下げる

昨日の記事「誇大広告に気をつけたい!信じては危ないレベニューマネジメントツール」で取り上げた船井総合研究所が提供するレベニューマネジメントツール「Judge Price」について、Judge Priceの公式WEBページに公開されている情報が誇大表示や虚偽にあたる可能性とその重要性が極めて大きいとホテルバンク編集部では考えたため、改めてその内容について詳細を報じる。また、同社の営業資料や2021年12月に実施されたTripla社との共同セミナーでの全発言も入手し材料として考慮した。

船井総合研究所「Judge Price」公式サイト:https://lpsec.funaisoken.co.jp/digital/workstyle/ryokan/

上記はJudge Priceの公式サイトトップページに記載されている内容だ。「RevPAR10%向上!」の表記についての問題点は昨日の記事で取り上げたが、他にも大きな問題と見られる表現が散見された。以下紹介したい。

まずは「レベニューマネジメントに関わる時間0分!」の表記である。

レベニューマネジメント業務とは、価格設定だけではなく、競合調査、プラン造成、OTA管理、口コミ管理など、ホテルの運営業務の多くを占める業務として一般的に定義されている。そのような業務がこのツールを使うことで「0分」に縮められるのだろうか。このツールの機能は価格以外についてのできることは言及しておらず、不可能であろう。本当に可能なのであれば具体的に資料等で補足するべきだと考える。

次に「船井総研完全独自のノウハウ 稼働率に応じた価格設定」とは一体何なのか。ホテルバンク編集部ではホテルのレベニューマネジメントに長年携わっていたメンバーもいるが、稼働率に応じた価格設定などは何十年も前からホテル業界に取り入れらている概念である。単純に稼働率が高いときに値段を上げて、低いときに下げる「だけ」の陳腐なものを誇大に表現していると考えられる。

次に取り上げたいのは、「各ポータルサイトに全自動で毎日反映させることができる」の表記と、その上にある「RPAツールを活用した」の両方の表記である。各ポータルサイトに自動で価格を反映させる事ができる機能は、サイトコントローラー各社が行っており、Judge Priceが行っているわけではない。また、RPAとは一体何を意味しているか不明だが、通常レベニューマネジメントツールはサイトコントローラー各社と契約し、API接続をすることで機能する仕組みである。サイトコントローラー全社に確認が取れたわけではないが、船井総合研究所が「手間いらず」や、「TLリンカーン」などとAPI接続を行わず、スクレーピングで行っているとすると大きな問題となることが容易に想像できる。仮にAPI接続がされていない場合、サイトコントローラー側の仕様が変わった途端システムがエラーを起こし、一般的に、修正されるまで使えなくなるからだ。

次にホテルバンク編集部が注目した表記は上記である。

まず、「最適な料金テーブルを設定」とはなんだろうか。「最適かどうか」というのは何を基準に決めるのか、同社の資料等からは確認をすることができなかった。船井総合研究所が考える最適が、ホテルにとっての最適と同位となるとは限らず、極めて主観的かつ、裏付けのできない表現であると考える。

また、昨日の記事でも指摘しているが、レベニューマネジメントやRevPARを最適化するためには複雑に絡み合った数多くの変動要素を分解し、考慮しないといけない。同社は競合価格はおろか、周辺の需要すら加味していない。そのような極めて限られた環境で「価格を最適化する」などと誇張していることに驚愕した。

ここまでくると、上記の表現がどれだけ滑稽か、わかるだろうか。また同社は価格理論とは何か、業績アップノウハウとは何かという点において、営業資料等で詳細に言及している部分は見つけられなかった。

次はこちらの表現である。「最適価格が反映されるため、客室稼働率アップ、客単価アップを実現!」と表記されている。仮に同社の価格が何よりも最適だったと仮定しても、ホテルの稼働率や客単価などは外部要因において大きく変動する。例えば、コロナ禍で宿泊需要が完全に蒸発するようなケースでは、同社のツールを導入したとしても稼働率はおろか、客単価のアップなど到底不可能であることがわかる。誇大表示の典型例ではないだろうか。

レベニューマネジメント業務においてサイトコントローラーで行う作業は価格の変更のみならず、日々の在庫管理やプラン設定等、多くの作業が必要となる。そんななか、このツールを導入し、サイトコントローラーを変更する人手を無くしてしまえばたちまち業務が回らなくなるだろう。

次回の記事では同社の価格体系がどれだけ費用対効果が悪いかについて、業界の他ツールとの比較表を持って論じる。

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