大阪府ビジネスホテルの施設数・部屋数の推移
メトロエンジンリサーチによると、2019年から2023年の大阪府のビジネスホテルの施設数・部屋数は年々増加を続けている。施設数は36%の増加、部屋数は55%の増加だった。
詳細な施設数は2023年3月時点で590施設(2019年1月時点:435施設)、部屋数は2023年3月時点で76,990室(2019年1月時点:49,696室)となっている。
2019年1月 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年3月 | |
施設数 |
435 |
498 |
533 |
565 |
590 |
部屋数 |
49,696 |
60,493 |
66,168 |
71,757 |
76,990 |
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪府ビジネスホテルの施設数・部屋数の推移について
大阪府のビジネスホテルの施設数と部屋数は直近5年間で順調に増加を続けている。
コロナ禍の中でも建設と新規開業は粛々と行われており、アフターコロナのインバウンドの復活や国内需要の高まりをある程度織り込んで各事業者が準備していることがわかる。特に大阪は2025年に万国博覧会を開催することが決まっており、ホテル事業者は2025年に生まれるであろう巨大な宿泊需要を見込んで新規のビジネスホテル開業が続く見込みである。
大阪府のホテル施設は府全体の施設数の85%が大阪市で展開されている。その後には堺市と泉佐野市が続いているが、堺市が4%、泉佐野市が2.9%とビジネスホテルマーケットの大半を大阪市が占めている事がわかる。
大阪市のデータを詳しく見てみる。
大阪市ビジネスホテルの施設数•部屋数の考察
2019年1月 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年3月 | |
施設数 |
354 |
409 |
438 |
468 |
489 |
部屋数 |
42,080 |
51,871 |
56,817 |
62,219 |
66,229 |
中央区 | 浪速区 | 北区 | 西成区 | 淀川区 | |
施設数 |
398 |
174 |
157 |
147 |
86 |
部屋数 |
37,201 |
8,599 |
19,327 |
5,089 |
9,680 |
出典:メトロエンジンリサーチ
メトロエンジンリサーチによると、2019年から2023年の大阪市のビジネスホテル施設数は2023年3月時点で489施設(2019年1月時点:354施設)となっていて、増加率は5年間で38%だった。
上の図は大阪市のビジネスホテルの展開されている分布図である。
下の表は大阪市の中でも施設数が多い区を抽出したデータである。
施設数と部屋数ともに中央区がビジネスホテルの展開数が圧倒的であり、大阪市で展開しているビジネスホテルの32%が中央区に集中している。
中央区には「大阪城」「黒門横丁」「道頓堀」などの大阪の観光資産が集中しており、JR大阪駅からもアクセスしやすいことからビジネスホテルを展開する上で最重要エリアとなっている。
次点で施設数が多い「浪速区」「北区」は大阪駅へのアクセスが良いことに加えて、大阪のビジネス街でもあるため出張で訪れるビジネスマンの宿泊先に選ばれる立地である。加えて「通天閣」や「梅田スカイビル」等の新旧ランドマークタワーが展開しており、観光客からの需要が大きいため、ビジネスホテルの展開が多くされている。
大阪府と全国の稼働率の比較推移
2019年は日本に来る訪日外国人が過去最多となる3188万2000人ということもあり、全国的にも稼働率は高かったが、大阪府は全国平均よりも高稼働率で推移している。外国人観光客が近畿地方を観光する際に京都にも奈良にもアクセスが良い観光の拠点として大阪に滞在していることや、関西国際空港が大阪にあり空路の玄関口であることも考えられる。国内観光客にとっても大阪は人気の観光地であり、国内観光客も多く流入していたことがわかるデータとなっている。
コロナ前のデータでは月平均の稼働率が80%以上で推移していることから、大阪府のビジネスホテルの運営はかなり収益の見通しが立ちやすく、多くのビジネスホテル事業者が大阪府でのオープンの計画を進めている。
ただし、前述の通り大阪府のビジネスホテルのデータは大阪市のビジネスホテルのデータが占める割合が多いため、「大阪市」でのビジネスホテルの運営を事業者が考えていることに注意したい。
コロナ禍の期間中は住んでいる人口が多いことから感染者の数も比例して多くなり、日本の中でも厳しく移動が制限されていたので地方からの旅行者が敬遠していたことやほぼインバウンドの入国がなくなったこともあり、全国平均よりも下回って推移していることがわかる。
2022年の12月時点では全国平均よりも低く推移している大阪府のビジネスホテルであるが、2023年のデータではおそらく2019年と同じ水準で推移されることが予想されており、大阪府への高い旅行需要の再来を予感させる。
2025年に大阪万博を控えていることもあり、ここ2〜3年で全国の中でも新規開業が増えることが予想されている。
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