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4人に1人が日本を訪れている、香港人に日本旅行が人気の4つのワケ

投稿日 : 2018.01.31

インバウンド

香港ではいま、空前の日本旅行ブームが起っている。人口わずか730万人あまりの地域であるにも関わらず、2017年に日本を訪れた人は200万人にも上る。香港人が日本のどこに魅力を感じて、何を期待しているのかを4つの点から詳しく考察した。

 
2017年に日本を訪れた香港人は約200万人
日本を訪れる外国人の数はここ数年右肩上がりで伸びている。2016年には史上初めて訪日外国人の数が2,000万人を突破したが、2017年になってからもその勢いはとどまるところを知らず、日本政府観光局(JNTO)が発表している統計データでは前年比19.3%増の約2,800万人を記録している。
 
訪日外国人が特に多い地域は、中国、韓国、台湾といった東アジアの国や地域だが、人口わずか730万人の香港もこれらの国に次ぐ第4位につけている。2017年に日本を訪れた香港人は約220万人だが、これは香港の人口規模を考慮すると特筆できる数字であることが分かる。前出のように香港の人口はわずか730万人なのだ。ちなみに、730万人という人口規模は愛知県とほぼ同程度だ。
 
香港の人口730万人のうち、2017年に日本を訪れた人は約220万人にのぼるということは香港人の4人に1人以上は日本を訪れている計算になる。もちろん単純に香港人の4人に1人が日本を訪れているというわけではなく、リピーターの数が多いことが見て取れる。日本政府観光局(JNTO)の調べによると、日本を訪れる香港人のうちリピーター率は82.1%だった。

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外国人の消費行動」

 
それでは、香港の人が繰り返し日本を訪れるのにはどんな理由があるのだろうか。香港人が日本旅行を好む理由について次から詳しく解説していく。
 
平均所得が高く、旅行をする金銭的余裕のある人が多い
香港では日本旅行へのリピーターが多いことは先ほど指摘したが、短期間に複数回旅行に行けるのはそもそも、金銭的に余裕のある人しかできないことである。
世界最大の都市・国家比較統計サイト「Numbeo」によると香港人の平均月収は約2,650ドルで、世界第10位に位置している。

出典:NUMBEO「Rankings by Country of Average Monthly Net Salary」

 
東アジアではシンガポールの約3,200ドル(世界第7位)に次いで第2位の地位を占めている。ちなみに日本の平均月収は約2,500ドルで世界第17位である。また、経済発展が目覚ましい中国でも全国民の平均月収は約930ドルでしかない。
日本へのリピーターが多いことの大きな要因は、それを叶えるだけの金銭的余裕が香港人にはあるのだ。
 
日本文化が早くから浸透している
香港は今でこそ中国の一部だが、1997年の返還まで100年間イギリス領であった。中国本土では長らく日本文化が禁止されていたが、香港では早くから日本文化が消費されていた。
日本の国民的キャラクターでもある「ドラえもん」や「ドラゴンボール」、「SLAM DUNK」などのアニメの人気も根強く、「ハローキティ」の人気は本国・日本を上回るほどである。
幼い頃から日常的に日本のアニメや文化に触れて育ってきた層が、日本に憧れを持ち、繰り返し訪問するという図式だ。
 
本場の和食を味わうために日本へ
2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、いまや世界中で人気の和食だが、1980年代から90年代は「ナマで魚を食べるなんて」とゲテモノ扱いされていた。しかし、香港では早くから寿司や刺し身などが受け入れられていた。それは、1980年以前から日系企業が香港へ進出していたおかげである。
 
1980年代には日本にかつてあったスーパーマーケットチェーン「ヤオハン」が店舗を構え、日本からの駐在員向けに寿司や刺し身などを売り出していた。こうしたスーパーマーケットを通して、駐在員だけでなく香港在住の人にも日本食が浸透していった。このような背景があり、現在では香港に無数の和食店が軒を連ねている。ちなみに日本の食材の輸出先のNo.1は香港である。
また、香港にある日本食・和食レストランの多くは食材を東京・築地から直送しているものが多い。和食に慣れ親しんだ香港の人が、より鮮度の良い食材の本場の料理を求めて日本に来ているという構図がある。
 
円安でさらに香港人が滞在しやすい環境に
ここまで、香港における日本の人気の理由をお伝えしてきたが、その人気に拍車を書けているのがここ数年の円安基調である。
香港は、中国の一部でありながら中国の通貨である人民元ではなく香港ドルを通貨として使用している。2017年の香港ドルと円の相関は、1香港ドル=14円前後だ。2010年から2012年の時期は1香港ドル=10円程度で推移していた。
 
かねてから日本旅行熱が高い香港だが、円高時の2012年に訪日した人は約48万人だった。このところの香港人の日本旅行ブームを読み解くには、円安も大きなポイントと言えるのではないだろうか。
 

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